警官「帰れない」と虚偽説明、捜査一部違法認定


 覚醒剤取締法違反事件で、警視庁の警察官が被告の男に職務質問した際、強制捜査の令状がないのに、「家には帰れない」などと虚偽の説明をして採尿を迫っていたことがわかった。東京地裁は判決で、捜査の一部を違法と認定した。

 判決などによると、昨年4月10日午後、東京都江戸川区の駐車場で、警視庁の警察官数人が男(52)(控訴中)を職務質問。男の車中からストロー片などが見つかった。警察官は覚醒剤の使用を疑って採尿を求めたが、男が拒否したため、強制的に採尿するための令状を裁判所に請求した。

 令状交付までの間、警察官数人は自発的な採尿を促したが男は応じず、自宅に帰ろうとした。これに対し、警察官の一人が「強制手続き中だから家には帰れない」などと発言。男から「帰れない法律があるのか」と問われると、警察官2人が「うん」「変わったの。今、令状請求だと容疑者扱いだから」などと説明した。その後、令状が示され、採取された尿から覚醒剤が検出。男は逮捕、起訴された。

 今年3月の地裁判決は、「令状が到着するまで、警察官は対象者に立ち去らないよう強く求め、留め置くことは許される」とする一方、警察官2人の男への発言は「法律を擁護すべき警察官が法律的に虚偽の内容を述べており、違法だ」と判断した。その上で、令状請求の手続きなどに問題はなかったとして男に懲役2年6月(求刑・懲役3年)を言い渡し、男は控訴した。

 警視庁は「裁判が継続中のため、コメントは差し控える」としている。

 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話「ウソの説明は不適切だった。一方、犯罪の摘発に職務質問は不可欠で、警察官は過剰な身体的接触や言動に注意を払いつつ、対象者に臨むことが求められる」